リアル書店のリアルな危機

米バーンズアンドノーブルが身売りも検討しているとの記事に驚きました。電子書籍も独自に出して、元気な書店だと思っていたのですが。

記事によれば、電子書籍の売り上げは、全体の25%ということで、リアル書店によるリアル書籍の売り上げが大きいにもかかわらず、その売り上げがどんどん低下していることが、今回の検討原因らしい。

amazon電子書籍が、ハードカバーのリアル書籍の売り上げを抜いたかなんかでしたよね。対極的な感じ。

思っていたのですが、店舗を構えていた書店には、リアル書籍を買いたい人が集まっていて、ネットを使った取引を彼らにしてもらうにはワンステップ越える必要があった。一方、amazonのような店舗を持たない書店は、もともとのリアル書籍の通販事業がネットで行われていたため、電子書籍もすんなり共存できた。

これまでリアル書店をひいきにしていた人も、電子書籍を買う際に、これまでのリアル書店が経営するウェブサイトから購入するとは限らない。むしろ、アップルやamazonのように、ハードとプラットフォーム、コンテンツのシームレスさがより完璧な企業のプロダクトを選ぶだろう。わざわざ面倒な設定をして、コンテンツを変換して、なんてことまでしたい利用者はいないだろう。だって電子書籍はリアル書籍と同等の使い勝手、つまり紙をめくるだけの作業に替わらなければならないから。

電子書籍の流れはとまらないですね。そのなかでこれまでの出版産業の末端であった書店や取次は、厳しい決断を迫られるでしょう。

しかし、電子書籍化を独自にやることは、決して得策ではないと私は思います。むしろネットで一人、または集合知を使うだけでは分からない、探しきれない情報を、いかに提供するか、そして時間を使ってくるだけの価値のある空間を提供するかに尽力するべきなのかなと思います。